第3回毎日パソコン入力コンクール
和文の練習方法


文責:仁平 由香

はじめに

 とても回数・姿勢など足らないところで一杯ですが、連合内ただ一人の3ラウンド・ノーミス記録達成者として(第3回本大会一次予選4位、本大会二次予選5位、決勝大会3位)僭越ながら、今後の参考になるかもしれないということで、今までの練習について書いてみました。

 注:この通りに練習したのにノーミスでなかったぞ!とか言われても一切責任は取れません。ご了承下さい。参考程度に。ただし質問は随時受け付けます。連合BBSへいつでもどうぞ!

課題文章のカスタマイズ

 課題文章は各自カスタマイズするのが当然でしょう。
 人によってホームポジションが違うように、当然視力の有効範囲も違ってきます。一番自分に見やすく、わかりやすいようにする必要があるでしょう。皆さんしているだろうと思っていましたが、当日会場でもあの改行マーク・ふりがな付きPDFを持ってる人の方が多かったので意外でした。

 ちなみに私は文字数はそのまま、文字を小さく、幅を狭く(具体的には私の視角に合わせて、12センチくらい)行間も狭くして、問題文を1枚に収めました。和文はみかけ文章が英文の3分の1程度なのでかなりコンパクトにできます。

 こうすると問題文の左右の空欄が大きくなり、その後の書き込み(重要!)もしやすいので一石二鳥。あ、練習していくとわかりますが、問題文にはどんどん書き込みをしていくべきです。

 要点 1:問題文は、途中でめくるロスを回避するため最小枚数にまとめる。
    2:どんどん書き込んで消費するので、最低限4,5枚作って保存しておく。
    3:用紙サイズ・文字サイズ・フォントなどいじれるものはいじって最適なものを見つける努力を惜しまない。

 ベストサイズを見つけるまでに、私は10枚以上無駄紙使いました。その後書き込みを変更するのにさらに10枚。ワード、メモ帳、PDF、色々試しましたが、私のベストはメモ帳でした。ワードは勝手にカーニングするのが好かん!(個人的感想)


目標の決め方 一般orタイピスト?

 マイパソでは、まず順位を競いたいのか、2級が取りたいのか(1級を取りたいという時点で順位を競うことは確定なので(笑))によって、練習の方法も回数も全く違ってきます。

 正直、現在のマイパソの級位設定はなっていません。
 2級と1級の差が大きすぎる。1級の難しさに比べて2級が甘すぎる!
 1級は1200ポイント、2級は750ポイント!
(追記:第4回から”準1級”などの微妙な級認定が成立。やはり〜)

 参考に、ワープロ検定(日商文書技能検定)1級の合格基準は10分間で800文字。これは言い方はどうかとおもいますが一般人の入力速度。タイパー・タイピストたるもの、一般人の入力速度の2倍は当たり前、3倍で並といってもいいかと思います。

 もし2級が目的であるならば、ただひたすらミスを無くせばいいという目標ができます。750ポイント取るためには、ノーミス625文字。「2級を取ることが目的」という方は、これ以降の文章を読まれる必要も無いでしょう。ノーミスを目指し、地道に練習してください。


目標の決め方 その1 まず10回打つ

 さて、振るい落とされなかったタイピストの皆様、一緒に目標を決めて参りましょう。

 課題文章発表と同時にソフトが配布されるわけではないので、とにかくメモ帳でもワードでもなんでもいいので、文章を打ちます。時間の感覚が無いので非常にダラダラと感じますが、最初から時間設定をして打つのは無意味だと思います。(今後「初見部門」が出るとのウワサですが、初見の場合は別です)

 日本語の場合特にそうですが、何度も々文章を打てば、少なくとも1,2,フレーズはおぼろげに勝手に覚えてしまいます。冒頭「ユビキタスとはラテン語で「あまねく存在する」という意味だ。」これを10回打って最初の文節「ユビキタスとは」が覚えられないという人はほとんど居ないでしょう(笑)


目標の決め方 その2 自分のクセを知る

 そしてたった10回打っただけでも、少なくとも3カ所は同じ場所を間違って変換したり入力していることに気づくはずです。文章を見ながら何も考えずに打っていてさえ間違えるような箇所は、後々暗記するようになっても必ずひっかかります。これは自己卑下でもなく謙遜でもありません。事実です。
 悲しいかな、人は同じ過ちを繰り返す。

 ですが、これは「自分のミス箇所を暗記することで、ミスを無くすことが可能」ということです。私の連続本番ノーミスという結果は、このミス箇所暗記の成果によるものだと断言します。(どれだけ私が同じミスをさんざんやらかしたか、という証明にもなりますが)

 最初の10回は、カスタマイズした問題文にどんどん書き込みをしていく時間であり、自分のクセ(ミスにつながる入力のクセ)をおおまかに把握する時間として有効に使いましょう。時間設定が無意味と私が思っているのはそういう理由です。



目標の決め方 その3 目標文字数の把握


 ここで人により異なりますが、目標文字数が課題のどこまでかを数え(ワードで文字数カウント機能を使えば簡単)各段落のおおまかな累計文字数をメモします。そしてノーミスならここまで、1ミス、2ミス、3ミスなら、、、というように、ミスした場合の文字数を計算して順次それもメモしていきます。

 ちなみに4ミス以上は記入する必要もありません。ボーナス無しで目標達成というのは勿体ないし、それは結果としてそうなるものであってマイパソで上位入賞を目指すにはいかにボーナス点を稼ぐかが重要だからです。

 私は最初1000点ラインを目標にしました。800文字〜900文字あたり。(正直、最初は全然打てず、1級1200ポイントを目指す心の余裕が無かった)「安全なシステムの構築だ」まででノーミスなら目標達成です。最悪の3ミスでは952文字が必要。「厳密な本人確認が必要だ。」あたりまで。

 これで私の目標は952文字以上ということになりました。高い壁ですが、私は前々回、前回とも適当に10回くらいの練習で2級は取得済みです。1000ポイント越えくらいの目標でなくてはわざわざ受験料を払い、練習時間を割く理由がありません。


目標の決め方 その4 とにかく目標文字数を打ち切る

 もしまだこの時点で練習用ソフトが配布されていない場合、WEB上から適当に”ストップウォッチ”をDLしてくることをお勧めします。(私のお気に入りはStop Watcherです)

まず5回ほど、時間を2倍、10分間に設定して練習します。時間を2倍にしているのですから、目標文字数は当然打ち切れるはずです。(打ちきれない場合、目標が高すぎます。もっと見合った目標を立て直してください)ここで回数を重ねる度に打ち切り時間が短縮される快感を存分に味わうこと!(重要)

 練習を続けていくには「打っていて楽しい」と感じることがとても大切です。特に最初でこの気持ちをもてないと、今後の練習に非常に差し支えます。「あーだるい、飽きた、まだ予選まで時間あるし、まぁいいや〜」となるのがオチです。そしてここで練習が出来ない人は、成績送付締め切り前日からあわてて練習することになり、目標達成の6割程度のスコアがHPに晒されても「練習してなかったから仕方ないやー」と自分を甘やかしてしまいます。というか、前回までの私がまさにそうなのです!(懺悔)


 打ち切り時間が7分切るくらいで安定してきたら、また時間を設定し直します。プラス1分の6分間が目安ですが、個人差があるのでそのあたりはご自由に。まぁ10回程度で安定してくると思います。プラス1分の効果は大きいですので。

 自分のペースをいかに把握するかが重要です。



目標の決め方 その5 ミスとロスの確認

 ここまでの練習の間も、自分のミス箇所、変換で迷うところ、とにかくロスする場所は徹底的にメモしていきます。1回でも間違った所は全てです。逆にここまでで一度も間違ってなければ、そこは考えなくていいボーナス文としてキープしておきましょう。後でこのボーナス文は、加速ペースで打つ練習をするときに有効に利用します。(=その箇所は、指を信じてぶっ飛ばせ!)

F7変換を使うところ(ユビキタスなど)などは蛍光ペンで塗りつぶし、「日常生活”で”」「ユビキタス社会”が”」などの引っかかりやすい助詞も目立たせます。

 特にロスが多いのが、段落が変わる時です。下手に数カ所の文章のみ覚えていると、恐怖の段落すっとばしミスが続出します。丸暗記の前にまず、段落の冒頭文と順序を覚える必要があります。これはもっと後半のストイックな練習になってもやらかしてしまうミスです。ここで根絶するのは難しい。でもやって置かないと「難しい」どころか「不可避」になってしまいます。やりましょう!

 まだこの段階では、段落の最後と次の段落の最初へのつながりをつかむくらいでいいかもしれません。丸暗記はするにこしたことはないのですが、今は覚えるよりもまず、改行でロスをしないこと、自分のミスのクセを知ることのほうが大事だと思います。

 自分のミスを徹底的に覚えること。同じミスの繰り返し箇所は、特に念入りにチェックすること。そしてミス箇所を減らしていくこと。重要なのはこの3点です。



目標の決め方 その6 5分間練習

 さて、自分のペースとクセを把握しました。課題用紙も真っ赤です。練習回数も少なくとも30回は越えました。そろそろ5分間練習を始める頃合いです。

 ここで用紙を新しいものに変えましょう。自分がどこを間違えるかはわかっていると思います。ざっと1分間ごとにどこまで入力できるかをメモし(重要)5分でどこまで打てるかの目安をつけます。

 実際打ってみればわかりますが、時間が1分縮まると(もともと1分長いのでこの表現も変ですが)予想以上に自分が動揺することに気づくと思います。特にラスト1分、ラスト30秒あたりは手が震え、動悸が激しくなり、問題文をじっくり見る余裕も無くなります。プラス1分練習ではもっと打てていても、5分でやってみると「あと1分しかない!」という焦りが強くなり、ペースが崩れます。(むしろこれでペースが崩れない人は、もっと打てるはずなので目標をもっと高く設定し直しましょう)

 5分間練習で出た新たなミスをチェックして根絶していきます。5分という短い時間でいかにミス無く入力するかが大切だからです。最初の練習でわざとプラス1分で練習した理由はもちろんこの後も生きます。

 というのも、このまま正規の時間5分間で練習していけば、当然文字数は練習を重ねる度に伸びていきますよね?最終的には、6分間で打てた箇所まで打つことになるのですから、必要な部分まで練習しておいて少しでも指に覚えさせようというのがねらいです。

 え?スパルタ?いやいやここまでしないと!
 本番では何が起こるかわからないんですよ?


 ざっと上記をまとめます。

@ 問題に慣れる。
A 自分のペースを知る。
B ミスを覚える。
C 目標を決める。
 シンプルすぎますが、ほんと、これだけですよ。
 ただひたすら練習を重ねてもそこそこ伸びるでしょうが、やはり目標があったほうが練習のメリハリもつきますし、何よりタイピスト・ソウルが燃えます!



練習いろいろ

 はい、正直ここまで書いてきて疲れちゃいました(笑)
 練習方法は、各自それぞれのやり方があると思いますので、私がやっていたことをざっと書くだけにします。

例1「 課題暗記 」

 英文を暗記しようとするのはごく限られた方だけになると思われますが、和文はわりと覚えやすいと思います。そうですね、練習含めて40回も打てばだいたい指が覚えてしまいます。あとは課題用紙とチラチラと見比べながら、どこで不安になったかをチェックしてそこを重点的に覚え込めば楽勝。

 私は通勤電車に用紙を丸めていれといて、気が向いたらチェックしてました。覚えているつもりで覚えられない句読点の位置は、とにかくマメに覚え込むしかないです。

 あと、これは歴史の暗記じゃないんですから、覚えようとする時でも必ず指を動かしながら覚えましょうね。後半はむしろ緊張と動揺で頼りにならない自分の判断力よりも、常に練習してきた自分の指のほうが信頼性が高いです。


例2「 イメトレ 」

 例えばお風呂なんかで。あるいは電車の中で。試験会場の待合い廊下で(笑)実際指を動かしてみて、迷い無く指が動くかどうか試していました。これだとキーボードの無い所でも練習できます。こういう時に暗記していると便利です。


例3「 自宅以外で練習 」

 学生は学校で、社会人は会社で、一度といわず何度でもパソコンを使って練習するほうが良いです。自宅の慣れたキーボードでしか記録が出せないと、本番では平均記録より100文字は減るという現実のまえに打ちのめされることに!

 どちらにも縁がないという方は、友達の家、彼氏・彼女の家、もうエイデンでもビッグカメラでもヨドバシカメラでもなんでもいいからとりあえず文章を打ってみましょう!これは厳しい環境で練習しろというわけではなく、単に自分の現状をなるべく客観的に見ることが目的です。

 もちろん、本番と全く同じ状態を作り出せるというのなら、それに越したことはありません。本番で使うキーボード、本番で使うイス、本番で使う書見台、・・・そこまでする情熱があるのなら、こんなの読まなくてもノーミスで和文上位入賞確実です!


例4「 集中・リラックス 両方試す 」

 雑音をシャットアウトして集中したほうがいい記録がでたり、あるいはノリのいい音楽をかけて意識を高揚させたほうが記録がでたり、いい記録が出る条件というのは人それぞれ違ってきます。大まかに分ければ「集中型」「リラックス型」に分かれると思います。

 自分がどちらなのか、この際ハッキリ確認しましょう。どうやって確認するかって?そんなのはいろんな事を試して見てください、としか言えません(笑)

 私は「本番だと思って緊張してやる」よりは「練習だと思ってリラックスしてやる」ほうがスコアが伸びるのでリラックス型だと思っています。最初はサングラスにイヤホンまでして集中型の練習をやってたんですけどねー。つまり最初の練習はあんまり良くなかったわけで。無駄なことをしたものです。(あ、でも私は音に弱いので、雑音はシャットアウトしました)


例5「 休憩ok 空白no 」

 和文にしろ英文にしろ、どちらも打つとなるとかなりの量です。仕事でやっている分にはフルスピードで打つことは滅多にありませんから(急ぎならともかく)そんなに疲れなくても、マイパソ練習をぶっ続けで10回やるとかは、ただのマゾ行為です。やったことあるけどな。(次の日手首が痛くて練習できんかった)

 1回ごとに休憩入れるのは良いですが、例えば3日に1回しかやらない、とかいうのは良くないと思います。というより、良くなかった。

 私は今回1次予選が一番練習をこなした状態で、2次予選は1週間ほどのブランクを開けてムリムリ10回ほど練習してから臨みボロボロ、本選も前々日にあわてて練習したものの・・・という感じでした。

 スコアデータを送る日は、少なくとも一週間連続で練習し、かつその日5回以上打ってから本番に臨むべきだと思います。たまたまベストを出したからといってそのまま本番に臨んでも、次にワーストが出るかもしれないのです。それよりは、ある程度は確実に打てる状態に保って受験するほうがリスクが少ないです。

 もちろん、リスク覚悟で臨まなければ達成できない状況であるなら話は別です。人生にはにはそんな時もありますからね!(例えば締め切りまであと10分なのにまだデータ送ってない等)


例6「 苦手段落の1分練習 」

 マイパソ課題練習ソフトばかり使っていると困るのが、終盤の練習ができないこと。私は効率悪くも時間を1分に設定し、後半の苦手段落のみとにかく打つ練習をしていたりしましたが、それよりは中山さんが公開されていた秘策の一つ、WTソフトを使って練習したほうが良いに決まっています。

 これは是非マネしたほうがいいです!和文ならなおさらです!!



おわりに

 さてここまで随分高飛車な文章を書いて参りましたが、私は順位は3位こそ取れたものの、スコア的にははっきり言って残念な結果です。練習の平均からいっても、1000文字ノーミスは固いと思っていました。むしろ1000文字ノーミスを達成できれば、順位が10位でも20位でも納得できたといえます。

 ここに書いたことは、これから和文ノーミスを目指す方に参考になるかとも思ってまとめたことですが、自分に向けて「書いたからにはちゃんと来年実行しろよ!」というプレッシャーをかけることでもあります。

 最後になりましたが、「全日本タイピスト連合」を発足し私たちの受験票から結果、会場案内まですべてを管理してくれた隅野さん、森井さん、どうもありがとう&お疲れさまでした。

 タイピング記録を公開しタイピストをリードしてくださる中山さん、とうとう秘策の公開までしてくださってありがとうございました。WTを使っての練習とは!すばらしいです!

 そしてタイピスト連合として一緒に受験した連合の皆様方、ありがとう!おかげで安く受験できました。(交通費はかかったけどね)来年も一緒に頑張りましょう。


 それではながながとしたマニアックな文章をお読み下さり、ありがとうございました。お疲れさまです。また次回。



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